秋田今野商店

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カビって何?

「カビ」といえば、私達は決して良い印象を持っていないと言ってもよいでしょう。

食物に生え、壁に生え、風呂場に生え…。至る所で目につき、見た目も悪い上に不衛生なこと極まりない、まさに嫌われ者と言っても過言でありません。

確かにカビには、この様な面があることは否定できません。しかし良く知られているペニシリンの様にカビから作られた医薬品は少なくありませんし、日本を代表する発酵食品の鰹節や味噌、醤油、清酒、焼酎はカビの助けによってつくられているのです。いわば私達はカビを食べているということにもなるほど、カビは私達の健康や生活面で大きな役目を担っています。

そのカビは私達人間よりも、はるかに早く地球に登場しました。5億年前などとも推測されていますから、いわばカビは地球上で私達の大先輩ということになります。

カビという字は「黴」と書きますが、この難しい漢字は遅くとも2千年前にはつくられていたという証拠があります。後漢の和帝の時代に編さんされた中国最古の字書として知られる「説文解字」の中に黴に関する一節があります。

物が長く雨にあたって青黒くなったのが黴であり、この字は「黒」という字と小さくて見えにくいという意味の「微」という字の省略形が組みあわされて出来たと解説しています。

つまり、湿気が多くなると生じてくる黒くて小さなものという意味をよく把んだうまい字の造り方だと感じさせられます。

黴とは、菌類の一部の姿を指す言葉で、肉眼的に観察される微生物の集落(コロニー)の俗称です。黴という言葉は狭い意味で用いれば、糸状菌の姿を持ちます。つまり菌糸からなる体を持つ菌類といえます。これらは、きれいに培養すれば、綿毛状の菌糸からなる円形の集落(コロニー)を形成し、その表面に多くの胞子(分生子)を形成します。麹菌の胞子を種こうじといいます。日本の醸造に使われている麹菌は、雄、雌が知られておらず、性がないものとして分類学上は不完全菌に入れられています。その生活史は胞子→菌糸→胞子の単純な繰り返しです。麹菌胞子の直径は3~5ミクロンで針の穴へ並べると100個位並び、重さは100億個で約1gです。ところで、麹の役割は(はたらき)とは何でしょう。それは麹菌が穀物の上で繁殖する際に生産する酵素の役割そのものになります。酵素とは、きわめて不思議なもので、生命を持たないのに物を分解したり、合成したりする「物質」です。タンパク質で出来ていて、そのタンパク質が不思議な化学反応を行います。よく酵素と酵母を混同してしまう人がいますが、酵素とは生命を持たない高分子の無生物で、酵母はアルコール発酵などを行う生物です。

日本の醸造食品の要となっている麹が食品に利用されている理由は、麹菌のつくる酵素によって食品の成分、味、香り、色などを変化させることが出来るからです。酵素は蛋白質を分解してアミノ酸をつくったり澱粉を分解してブドウ糖をつくったりします。

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